研究概要 |
1.遺伝子導入した間葉系細胞の筋肉への分化及び生着の評価 βグルクロニダーゼ遺伝子が発現するレトロウイルスベクターを感染させたヒト間葉系細胞を,ムコ多糖症VII型マウスの大腿筋に移植し,遺伝子導入した間葉系細胞の筋肉への分化,生着をみる。そのため,現在レトロウイルスベクターをトランスフェクションし,βグルクロニダーゼ遺伝子の発現が高力価となるようなウイルス産生細胞のクローニングに着手している。 2.遺伝子導入した間葉系細胞移植の病理学的評価と有効性の評価 移植部位である大腿筋において,βグルクロニダーゼ活性染色を行い,移植細胞のβグルクロニダーゼ活性を評価する。また,βグルクロニダーゼの全身への効果を評価する。同時に,各臓器の病理組織の改善と有効性を評価する。その前段階としてまず正常マウス,ムコ多糖症VII型マウスにおいて,各組織のβグルクロニダーゼ活性染色を行い,陽性,陰性コントロールの標本を作製中である。 3.移植細胞においてcross correctionが機能していることの評価 βグロクロニダーゼ遺伝子が発現するレトロウイルスベクターをβグルクロニダーゼ欠損細胞,ヒト間葉系細胞に感染させ,遺伝子導入の至適条件を確立する。各細胞のβグロクロニダーゼ活性定量および活性染色で酵素活性が増強されていることを確認する。現在,間葉系細胞の中で導入効率の高い細胞を選択中である。またその後,βグロクロニダーゼ遺伝子が導入された細胞から,酵素欠損細胞であるムコ多糖症VII型マウス由来線維芽細胞へ,βグロクロニダーゼの細胞間輸送が行われているか,つまりcross correctionが機能しているかを確認する。
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