研究概要 |
Th1/Th2 balanceに関与すると報告されている転写因子(T-bet、Txk、GATA3、SOCS3、SOGS5、c-Maf)の遺伝子発現にっいて、健常人の末梢血から分離したT細胞をジーゼル排気微粒子(DEP)、ホルマリン(FA)処理し、マイクロアレイを用いて網羅的遺伝子解析を行った。その結果、controlと、DEP、FA処理群で統計学的有意差が検出されなかった。ただし、Txk、c-Mafについては、DEP、FA処理により発現が低下する傾向がみられたため、real-time PCRによるmRNAの解析を行った。その結果、DEP、FA処理により転写因子T-bet、Txk、c-Mafが抑制されることが分かった。一方でGATA-3、SOCS-3、SOCS-5はDEP、FA処理での変化は見られなかった。 今回、DEP、FA処理したTcellで共通してT-bet、Txkが抑制されたことに加え、Gadd45a(growth arrest and DNA damage-inducible genes)及びGILZ(glucocorticoid induced leucin zipper)という遺伝子の発現が亢進していた。Gadd45aは、DNA damageやstress signalによって、転写因子Fox03aの活性化を介して発現される。一方、GILZもFox03aのtargetgeneである。酸化ストレスは、Fox03aをacetyl化し、核内への移行を引き起こす。抗酸化物質NAC(N-acetylcysteine)の処理によって、FA、DEPによるGadd45aの発現上昇は低下し、FAによるGILZの上昇は低下した。DEPやFAが、T細胞に酸化ストレスを与え、Fox03aが活性化する結果、GILZ,Gadd45aがup regulateする可能性が考えられる。
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