中毒性表皮壊死症の主な病態は表皮ケラチノサイトのアポトーシスと考えられていますが、その詳細なメカニズムがはっきりしていないためマウスの骨髄移植後のgraft-vs-host disease (GVHD)で生じる皮膚症状をモデルとして中毒性表皮壊死症のモデルマウスの作成を開始しました。まず最初にGVHDモデルの条件設定として、allo GVHDをモデルとして採用しました。具体的にはヌードマウス(H-2^d)をhostとし、C57BL/6マウス(H-2^b)の脾臓から採取した白血球を移植する方法で、recipientとしてCD4陽性Tリンパ球をMACS法にて除去してCD8陽性Tリンパ球の割合を増加させた白血球を2x10^7個尾静脈より移植を行いました。皮膚症状の発現はみられましたが、個体差が生じるため、現在移植するリンパ球の細胞数を増やしたり、移植するリンパ球全体におけるCD8陽性T細胞の割合を増加させたり(具体的には更にB細胞や樹状細胞を除去)、投与経路を変更(一部皮内投与など)するなどして、確実に皮膚症状を発症させ、かつ再現可能な条件を検討しています 今後はgldマウス(FasL機能欠損)、perforinノックアウトマウスなど一般的にアポトーシスを誘導するために必要な機能の異常を有するマウスをrecipientとして使用することで、表皮ケラチノサイトのアポトーシスに関与するメカニズムを解明していく予定です。
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