悪性黒色腫の手術にて得られた原発巣の組織から、mRNAを抽出して転移の有無にてMIAの発現レベルを定量比較した。転移あり9例、転移なし4例についての検討では明らかな有意差は認めなかった。腫瘍マーカーとして血清のMIAの値は病期の進行にて上昇することを確認しており、免疫染色にて原発巣では部分的にMIAの発現を認めることも証明された。しかし、原発巣での遺伝子発現レベルでは、予後を推測できるだけの有意差に乏しい結果となった。上記の内容は、厚生労働省のがん研究助成金の会議にて報告済。 続いて、扁平上皮がん、エックリン汗孔がん、基底細胞癌と正常皮膚でMIAとともに細胞接着に関与しているデスモグレインあるいはE-カドヘリンを免疫蛍光染色を行い、現在症例を追加している。さらに、凍結組織よりたんぱくを抽出してそれらの接着因子の腫瘍での増減を免疫プロット法にて確認しており、現在まだ症例を追加している最中である。デスモグレインに関しては、正常では細胞接着に関与しているため減少すると悪性度が高まることが予測されるが、過去の文献では必ずしも悪性度は高くならず、むしろ予後が改善するという方向もある。われわれの結果では、癌化した組織でこれらの発現が増加している例が多いが、未分化な症例では減少していることを確認した。予後との比較は、今後行っていく予定である。さらに、たんぱくを抽出してそれらの接着因子の腫瘍での増減を免疫プロット法にて確認しており、現在まだ症例を追加している最中である。
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