今回、解析に用いるmRNAを色素細胞および角化細胞から抽出する際に、RNA編集がより分かるようにするため、ADAR1遺伝子を導入した細胞からmRNAを抽出し、それを解析に用いることにした。これにより、ADAR1を細胞内で過剰に発現させて、充分にRNA編集が行われたmRNAを得ることができる。 はじめに、それに用いるADAR1遺伝子の発現クローン作製を行った。 色素細胞および角化細胞において、この発現クローンによってADAR1を過剰発現させた。これをmRNAレベルにおいてはリアルタイムPCR、蛋白レベルではウエスタンブロッティングによって確認した。 色素細胞において過剰発現をさせた時の色素関連遺伝子であるチロシナーゼおよびMART-1についての発現量の変化をmRNAレベルで調べたところ、有意な変化は見られなかった。 さらにsiRNAにおいて定常状態で発現するADAR1を抑えたサンプルも準備するため、siRNAを設計して同様に色素細胞および角化細胞に導入し、これをmRNAレベルにおいてはリアルタイムPCRによって確認した。 これを用いて、色素細胞において、遺伝子抑制させた時のチロシナーゼおよびMART-1についての発現量の変化をmRNAレベルで調べたところ、有意な変化は見られなかった。 これらのADAR1過剰発現および遺伝子抑制を行ったRNAサンプルについて、DNAマイクロアレイを用いて包括的遺伝子発現変化を観察し、ADAR1によって変化を受ける遺伝子を検索する実験を行っている。
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