研究概要 |
尋常性乾癬は、世界で1億人、日本では10万人が罹患する疾患であるがその病因は未だ結論に達していない。我々はユニークな3次元皮膚培養システムを用い浸潤細胞を分離し、リンパ球表面マーカーであるCutaneous lymphocyte-associated antigen(CLA)やCCR4,CCR10などの皮膚指向性chemokinereceptor、皮膚にhomingするregulatoly T細胞などの解析を行う予定である。またT細胞レセプターβ鎖可変部領域のレパートリーの多様性を解析するspectratyping法を用いることにより乾癬の皮膚病変部皮膚浸潤細胞のリガンドを解明する。異常クローンのCDR3領域のシークエンスを行うことによりこれらのクローンが認識するリガンドが推定可能となり、乾癬の病因として想定されている自己抗原の同定も可能になる。更にはVitamin D3の炎症細胞上の皮膚指向性chemokine receptorへ及ぼす効果も証明する。 本年度まず、in vitroでvitamin D3のリンパ球に対する効果を検討した。培養した末梢血Tリンパ球にvitaminD3の添加を行うことにより、皮膚指向性che皿okinereceptorや、腸管指向性chemokinereceptorへ及ぼす効果を解析した。皮膚homingマーカーとしては、CLAやCCR4,CCR10が重要であるが、in vitroで活性型のvitamin D3が特にCLA生合成に対して抑制的に働くことを見いだした。また人工的にマウスに誘発した皮膚炎の局所に浸潤する炎症細胞も、マウスに活性型vitamin D3を前投与する事により抑制されることも発見した。つまり活性型vitamin D3はリンパ球の皮膚指向性に対して抑制的に働く事を証明した。 次年度は尋常性乾癬患者より採取した皮膚小片を研究に使用し、3次元皮膚培養システム上でvitaminD3の浸潤炎症細胞への効果(脱皮膚指向性)を証明する予定である。分離したT細胞をflow cytometric analysisや、定量的RT-PCRを用い、リンパ球表面マーカーであるCutaneous lymphocyte-associated antigen(CLA)やCCR4,CCR10などの皮膚指向性chemokine receptorの解析を行う。また異常クローンの可変部領域のシークエンスを行うことによりこれらのクローンが認識するリガンドを推測する予定である。
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