研究概要 |
臨床像およびカフェイン添加時に紫外線感受性が増強する色素性乾皮症バリアント群の初代培養線維芽細胞を用いて、DNAレベルおよび蛋白レベルで分子生物学的解析をおこなった。免疫沈降法を用いたDNAポリメラーゼイータ蛋白の発現を検討したところ、色素性乾皮症バリアント群の患者から得られた初代培養線維芽細胞にはDNAポリメラーゼイータ蛋白の発現がないことが確認された。また、それらの細胞におけるDNAポリメラーゼイータ遺伝子の遺伝子変異についてシークエンス法をもちいて検討したところ、日本人に特徴的な遺伝子変異を同定するに至った。日本人色素性乾皮症バリアント群患者においては、28アリルの変異のうち11アリル(39%)にG490T、5アリル(18%)にC725T、5アリル(18%)にG916T変異を認めた。つまり創始者効果があることを発見した。このホットスポットの同定により今後の日本人色素性乾皮症バリアント群の遺伝子解析が容易になった。さらに、免疫沈降法で光線過敏を有する患者の簡便なスクリーニングが可能となった。申請者はこれらの成果をアメリカ研究皮膚科学会雑誌に報告している(Tanioka M, et. Al. Molecular analysis of DNA polymerase eta gene in Japanese patients diagnosed as xeroderma pigmentosum variattype. J Invest Dermatol 127:1745-1751,2007.)。
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