(1)Tie2-Cre STAT3^<-/->は出生するものの、出生3週後以降、成長はTie2-Cre STAT3^<+/->に比べて抑制されることが見出された。すなわち、Tie2-Cre STAT3^<-/->は個体として小さいことが明らかとなった。従って、平成19年度はTie2-Cre STAT3^<-/->における成長抑制因子を評価し、詳細に検討する予定である。特に、四肢末梢の皮膚が蒼白であることから、脈管築異常に起因する循環障害や造血系障害の可能性を考え、STAT3破壊による組織機構の病態を明らかにし、生体におけるSTAT3の組織特異的役割の解明を試みた。造血器の評価:末梢血における血球及び骨髄の組織学的検討を行った。 (2)培養ヒト皮膚由来リンパ管内皮細胞におけるSTAT3による細胞制御機構の解明 VEGFファミリーによる細胞遊走能:「VEGFファミリーによる細胞遊走及び管腔形成能がSTAT3を介する。」この仮説を立証するため、Boyden chamberを用いた走化性試験を行った。VEGF-Aによるリン酸化STAT3の核内移行を、STAT3抑制作用を持つdominant negative STAT3を発現するアデノウイルスベクター (Dn STAT3 Adex) を用いて検討した。さらに、VEGF-A受容体に対する中和抗体を用いて、STAT3の核内移行の抑制を検討した。管腔形成に関しては、VEGF-A存在下Matrigelを用いてリンパ管内皮細胞の管腔形成を評価し、Dn STAT3 AdexまたVEGF-A受容体に対する中和抗体を用いて管腔形成の抑制効果を検討した。
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