培養脂腺細胞の分泌膜小胞、セボゾームへのヒストンH3蛋白質分子の局在化の観察: 脂腺細胞から分泌されたセボゾームにはピストンH3が局在していたが、同ヒストンの局在化機構について検討した。ヒストンH3全長-GFP及びヒストンH3部分ペプチド-GFP融合蛋白質をラット培養脂腺細胞に発現させ、どのドメインがセボゾームや核へ局在するのに必要かをGFPの蛍光を観察して検討した。その結果、ヒストンH3全長-GFP及びH3部分ペプチド-GFP融合蛋白質を強制発現させたラット培養脂腺細胞は、共にセボゾームを生成分泌した。ヒストンH3全長-GFP融合蛋白質とヒストンH3N末端ペプチド-GFP融合蛋白質は、核に局在したが、ヒストンH3C末端ペプチド-GFP融合蛋白質は核には局在せず、顆粒状になり細胞質内に局在した。これらの局在を、セボゾームを生成しない他の細胞と比較した結果、セボゾーム以外では同様の分布が示された。細胞内に生成された分泌前のセボゾームおよび分泌後のセボゾームには、ヒストンH3全長-PFG融合蛋白質及びH3部分ペプチド-GFP融合蛋白質のすべてが局在していた。細胞質内の可溶性蛋白質のマーカーとしたGFP蛋白質単独でも、分泌後のセボゾームに局在が認められたことから、セボゾームには細胞質成分が含まれていることが示唆された。従ってヒストンH3 C末端ペプチド-GFP融合蛋白質は、セボゾームへの細胞質の移行に伴って受動的に局在化することが予想された。一方、ヒストンH3のN末端ペプチドが核に局在化することからは、同部分に核移行シグナルが含まれることが考えられた。ヒストンH3のN末端ドプチドはセボゾームへの局在化に積極的に関与し、同部位にセボゾーム移行シグナルが存在することが示唆された。また、ヒストンH3のN末端ペプチドには塩基性アミノ酸が多く含まれており、抗菌活性を持つことが予想された。
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