研究概要 |
BALB/cマウスに,trinitrochlorobenzeneをハプテンとして用いて接触過敏反応(CHS)をマウスの耳介に惹起させその厚さを測定するとともに,惹起相で炎症局所に浸潤するリンパ球のフェノタイプ(CD4,CD8,CD25)の経時的な変化を免疫組織化学的に解析した。耳介の厚さは惹起6時間後より肥厚し始め48時間でピークを迎え72時間後より徐々に菲薄化した。浸潤しているリンパ球はまずCD8陽性細胞が6時間後より認められ,その後CD4陽性細胞が12時間後より認められた。CD8陽性細胞は24時間後より徐々に減少し,CD4陽性細胞はさらに増えていた。CD25陽性細胞も6時間後より認められたが24から72時間後にかけて増加傾向が認められた。一方,Foxp3mRNAの発現をreal time RT-PCRで測定したところ,その発現は惹起後6時間後より認められ,24時間後から72時間後にかけて強くなり5日後からは減少していた。以上の経過よりCHSの惹起相における炎症反応の収束には制御性T細胞が関与していることが示唆された。Foxp3mRNAの発現の推移は耳介の厚さの変化に相関する傾向が見られた。ハプテン塗布で惹起させる際にステロイド外用剤を塗布しておくと,耳介の肥厚は減少するが,その際Foxp3mRNAの発現も低下していた。また,ハプテンを繰り返し塗布することで作成したTh2モデルマウスでも,ステロイド外用剤を塗布すると耳介の肥厚は減少するが,その際Foxp3mRNAの発現も低下していた。以上の結果よりステロイド剤外用による炎症反応の抑制には制御性T細胞は関与していない可能性が示唆された。
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