研究概要 |
BALB/cマウスに、trinitrochlorobenzeneをハプテンとして用いて接触過敏反応(CHS)をマウスの耳介に惹起させる系でFoxp3 mRNAの発現をreal time RT-PCRで測定したところ、その発現は惹起後6時間後より認められ、24時間後から72時間後にかけて強くなり5日後からは減少していた。さらにCHSの抑制性サイトカインであるIL-6,TGF-βについてもその発現をreal time RT-PCRで測定したところ同様に24時間後から72時間後にかけて強くなり5日後からは減少。する傾向を認めたが、優位な所見はえられなかった。以上の経過よりCHSの惹起相における炎症反応の収束には制御性T細胞が関与していることが示唆された。一方抑制性サイトカインであるIL-6,TGF-βについてはその関与は証明されなかった。Foxp3 mRNAの発現の推移は耳介の厚さの変化に相関する傾向が見られた。ハプテン塗布で惹起させる際にステロイド外用剤を塗布しておくと、耳介の肥厚は減少するが、その際Foxp3 mRNAの発現も低下していた。あわせてIL-6,TGF-βについてもその発現をreal time RT-PCRで測定したところ発現量は低下を認めたが優位な所見はえられなかった。また、ハプテンを繰り返し塗布することで作成したTh2モデルマウスでも、ステロイド外用剤を塗布すると耳介の肥厚は減少するが、その際Foxp3、IL-6,TGF-βmRNAの発現も低下していた。以上の結果よりステロイド剤外用による炎症反応の抑制には制御性T細胞は関与していない可能性が示唆された。また、アレルギー疾患や細菌感染防御で重要な役割を果たしているTh17細胞に関してハプテンの耳介塗布モデルでの、CHS惹起相における制御性T細胞とTh17細胞の経時的な動態についても検討したが、今のところ明らかな関連は認めない。
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