IFN-λは、がん細胞の増殖を制御するとともに、宿主NK細胞の活性化を介して抗腫瘍効果を発揮する。平成20年度本研究では、IFN-λのNK細胞誘導効果と抗腫瘍効果を既存のサイトカインとさらに比較検討するとともに、IFN-λによるNK細胞活性化を介した腫瘍廃絶には、いかなる分子間認識が必要か、effecter分子の存在の有無による抗腫瘍効果の検討を行った。colon26肝転移モデルマウスに、ハイドロダイナミック法で腫瘍局所にmock、IFN-λ、IL-21を強発現させて生存曲線を比較した。その結果、IL-21治療群では生存期間の延長を認めたが、IFN-λ治療群はIL-21治療群の効果に及ばなかった。以上の結果から前年度までの結果ともあわせるとIFN-λによるNK細胞の増殖・活性化能は、IL-21およびIFN-αほど強いものではないと示唆された。さらにNK細胞活性化を介した腫瘍廃絶にかかわる分子間認識機構を明らかにするために、perfbrn欠損のplfKOマウス、及びTh1細胞のマスターレギュレーターであるTbetのKOマウスを用いて検討を行った。C57BL/6やBalb/cでの固形がん臓器転移モデルでは腫瘍局所にIFN-λを過剰発現させると抗腫瘍効果を認めた。しかし、prfKOおよびT-bet KOマウスでの固形がん肺転移モデルの生存曲線を比較検討した結果、IFN-λ、IL-21、IFN-αそれぞれの治療による生存期間の延長は認めず、抗腫瘍効果はキャンセルされた。これらの結果からIFN-lambdaによるNK細胞を介した腫瘍破壊について、その治療効果の一部は、effecter分子の存在、すなわちpelfolin、Th1サイトカインを介してひきおこされていると示唆された。
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