研究概要 |
本年度の研究計画として 1.Myc/Mad遺伝子含有レトロウィルスベクターの作製 2.Cell lineヘの遺伝子導入 3.培養下での毛髪再生、伸長の検討 を挙げたが、本年度は昨年度の研究計画の3.として挙げた、臨床検体における遺伝子発現の検討につき興味深い結果を得たため、さらにその検討の深めることに重点を置き、その結果について国際学会にて発表した。昨年度までに我々は、ヒトの成長期毛におけるMycの発現を検討し、Mycは毛包のBulge領域に存在する、stemcellに発現し、毛周期をコントロールしている可能性があることを示唆する結果を得た。本年度は、同一の円形脱毛症患者におけるMyc発見を病期ごとに検討した。その結果、円形脱毛症患者においては、円形脱毛症発症時、症状完成期のみならず、回復し発毛がみられた後でもMycの毛包Btilge領域ににおける発現が減弱していることを証明した。このことは、円形脱毛症が再発を繰り返すことと何らかの関係があるものと考えられ、今後さらなる検討を要する。以上の要旨を「Fifth International Congress of Hair Research」の場で発表した。 一方、本年度の研究計画として挙げたものについては、現在以下の通り進行中である。 Myc遺伝子含有レトロウイルスベクター(GFPを含む)は構築である。 Epidermal keratinocyte cell line(A43l) cell lineへ遺伝子(GFP, GFP-Mad)を導入する実験を施行中であり、引き続き毛包由来細胞に対する遺伝子導入を行う予定である。培養下での毛髪再生、伸長の検討については毛包由来細胞の最適な培養条件のさらなる検討が必要であり、来年度への継続した検討が必要である。
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