研究概要 |
本年度の研究計画として Cell lineおよび毛髪由来細胞への遺伝子導入 培養下での毛髮再生、伸長の検討 培養皮膚および毛髮への遺伝子導入 遺伝子導入後組織切片のマウスへの移植 を挙けたが、本年度も昨年に引き続き、臨床検体における遺伝子発現の検討について研究を進めた。 昨年度までに我々は、ヒトの成長期毛におけるMycの発現を検討し、Mvcは毛包のBulge領域に存在するstemcenに発現し、毛周期をコントロールしている可能性があることを示唆する結果を得た。本年皮は、同一の円形脱毛症患者におけるMyc発現を病期ごとに検討した。その結果、円形脱毛症患者においては、円形脱毛症発症時、症状完成期のみならず、回復し発毛がみられた後でもMvcの毛包Bule領域ににおける発現が減弱していることを証明した。健常人の成長期毛の手包球部は免疫学的特権部位といわれ、通常様々な免疫反応から防御されている。ところが、円形脱毛症患者の同部位ではこの防御機構が破たんしていることが知られており、このことが、円形脱毛症発症の一つの要因であるとされている。そこで、今年度我々は、円形脱毛症患者の免疫学的特権(防御機構)の破たんと回復について、検討を行った。その結果は未だ不十分ではあるが、症状の回復した患者でも依然として防御機構は破たんした状態が続き、これが昨年度までの研究成果であるMyc発現と対応している可能性が示唆されたこのことは、未だ解明されていない円形脱毛症の再発が繰り返される機序を解明するための基盤になると考えられる。 一方、年度の研究計画として挙げたものについては、現在以下の通り進行中である。 Myc遺伝子含有レトロウイルスベクター(GFPを含む)は構築中である。Epidermal keratinocyte cell line(A431)cell lineへ遺伝子(GFP, GFPMad)を導入する実験を施行中であり毛包由来細胞に対する遺伝子導入を行っている。培養下での毛包再生、伸長の検討については毛包由来細胞の最適な培養条件のさらなる検討を行っている。
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