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2006 年度 実績報告書

精神疾患と神経栄養因子の分子薬理遺伝学的総合的検討

研究課題

研究課題/領域番号 18790834
研究機関徳島大学

研究代表者

山内 健  徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (90325267)

キーワードBDNF / 神経栄養因子 / 精神疾患 / 統合失調症 / うつ病 / 遺伝子多型 / 機能性多型 / 抗精神病薬
研究概要

脳由来神経栄養因子brain-derived neurotrophic factor(BDNF)は神経発達に関与する神経栄養因子の1つである。神経栄養因子は神経の発達に必要不可欠な蛋白質であり、胚形成期、器官形成期だけでなく、成体においても神経細胞の細胞増殖、移動、分化、生存、再生に関与している。また、神経連絡に重要な役割を果たし、神経可塑性の維持にも関与する。そのため、神経栄養因子の発現量と、統合失調症やうつ病など精神障害との関連が注目されており、死後脳や血清での発現変化、向精神薬投与による発現変化などが報告され、神経栄養因子をコードする遺伝子と精神障害との遺伝子解析研究も多数行われている。最近、BDNFの前駆体蛋白質部位にBDNF Va166Met多型が発見され、66番目のアミノ酸にMethionineを持っBDNFでは、細胞内輸送作用が変化し樹状突起の進展が乏しいことが示された。Met接合体を持つものでは、短期記憶が低下し、海馬が小さいことも示され、BDNFのVal66Met多型が機能性多型として注目されるようになった。
今回、DSM-IVにて診断された入院中の慢性期統合失調症患者159人(男性115人、女性44人、平均年齢:53.9±12.8才、平均入院期間:12.1年)について、BDNFVa166Met多型と発症年齢ならびにBrief Psychiatric Rating Scale (BPRS)で評価した臨床症状との関連を検討した。
BDNF遺伝子Metアレルを持つ患者群では、Valホモザイゴートと比較して、発症年齢が有意に若かった。また、BPRSの総点はBDNFVal66Met多型3群間で有意に異なり、Val/Val群はMet carrierよりも有意に高い点数を示し、Val/Val群では治療抵抗性患者になりやすい可能性が示唆された。以上の結果より、BDNF遺伝子Val66Met多型は、統合失調症の発症ならびに長期間の抗精神病薬治療後の臨床症状レベルに影響を与えることが示唆された。

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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