研究概要 |
本研究は (1)中枢NA神経活性の末梢における指標としてNoradrenaline(NA)の最終代謝産物である3-methoxy-4-hydroxyphenylglycol(MHPG)を精神症状評価の客観的な指標や坑うつ薬の決定に利用する。 (2)抗うつ薬の体内濃度のモニタリングを簡便で痛みを伴わず、患者様が自宅で単独でもサンプルを採取できる唾液より行い、日間、日内変動、有効投与量などの検討を行う。が二つの大きな柱となっている。 (1)においてはサンプル採取を行いデータの蓄積中ある。解析も一部であるが以下のような検討を行った。精神科受診時にうつ症状を呈する患者には内因性気分障害のみでなく、不安障害や適応障害などの患者とが混在することとなっている。しかし、これらは再発、自傷や躁転のリスクなど大きくことなり、異なった治療方針、対応が必要となる。そこでうつ症状持つ患者を現病歴、経過、診断基準とで内因性気分障害と不安障害、適応障害などに他の疾患に合併した群の二つに分けて行った。(結果)HAM-Dについては両群間で大きな違いはなかった。一方、唾液中MHPG濃度の測定値は内因性において大きなばらつきがあり、標準偏差の値がその他の群に比べ有意に大きかった。 (2)では塩酸パロキセチンにおいて血中濃度と唾液中濃度に強い相関(r=0.617,p<0.004,n=19)が見られ、唾液による測定が可能であることを示し発表を行っている。 19年度以降として測定できる坑うつ薬を増やし、データの収集を進め、(1)(2)の組み合わせにより多角的な解析し研究を進めていき新しい知見を得て、目標である客観的指標に基づく効率的、個別的うつ病治療戦略の構築の達成を目指している。
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