研究概要 |
てんかんの病態解釈仮説として興奮系と抑制系の不均衡が現在も強く支持されている。興奮系賦活化を担うグルタミン酸(Glu)の細胞興奮毒性は、グルタミン酸トランスポーター(EAATs;クリア型GLAST,GLT-1とニューロン型EAAC-1)によってある程度制御されている。このなかでGABAニューロン上のEAAC-1は、細胞外GluをGABA合成に繋げる経路に関与するEAATsとして注目されている。 さらにEAAC-1は、EAATs発現調整因子であるGlutamate Transporter Associated Protein(GTRAP3-18)によって抑制的に制御されている。このような背景からGTRAP3-18は興奮系と抑制系両機能を調整する興味深い膜蛋白であると考えられる。EAAC-1の発現は増加していたが、GTRAP3-18はてんかんモデルにおいて発現が低下していることが明らかになった。 同結果は、細胞外グルタミン酸の取り込みの促進を意味するものであり、興奮系シナプス伝達の亢進とともに、抑制系も同時に増強していることを視させる貴重な結果である。その帰結として、興奮系の過同期が生じててんかんの発作発現へと呈するものと推測される。
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