研究概要 |
年齢18歳以上、60歳以下の健常者(現在薬物を服用していないこと、神経精神疾患、身体疾患、薬物依存、近親者が精神疾患である者を除く)を対象に、前頭葉機能(遂行機能やワーキングメモリー)をWisconsin card sorting test, verbal fluency testなどで、言語記憶機能をRey auditory verbal learning test、非言語記憶機能をComplex figure testなどで、注意機能の評価をLetter cancellation testなどの神経心理学テストで評価した。その後、線条体外のドーパミンD2受容体を評価するために[^<11>C]FLB457約200MBqを静注しPET装置にて(Siemens社製HR+)脳全体を撮像した。休憩の後、ドーパミンD1受容体を評価するために同様に[^<11>C]SCH23390約200MBqを静注しPET検査を施行した。平成18年度は、線条体外のドーパミンD2受容体結合能を算出するために、PE?画像とMRI画像の位置あわせをして、関心領域を設定しコンパートモデルによってD2受容体結合能を算出した。各認知機能の成績と脳局所のドーパミンD2受容体結合能との関係を検討した。その結果、海馬領域のドーパミンD2受容体結合能と言語性記憶の成績との間に正の相関が認められた。さらに海馬領域のドーパミンD2受容体結合能は、語流暢性や遂行機能といった前頭葉機能の成績との間にも正の相関が認められた。海馬領域のドーパミンD2受容体は記憶といった海馬局所の機能のみならず、海馬-前頭前野経路の伝達を調節にも関わっていることが示唆された(Takahashi et al. Neuroimage 2007)。
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