研究課題
脳腫瘍の中で、もっとも予後不良である膠芽腫の放射線に対する抵抗性の解析を行うべく、放射線治療が施行された膠芽腫患者の組織を用いて、アポトーシス抑制因子であるSurvivinに着目し実駿を行った。新規アポトーシス抑制因子であるSurvivinは、腫瘍および胎児組織のみに発現するという特徴を持ち、将来的に分子標的治療の有用な標的蛋白として注目されている。またcaspaseを介したアポトーシス経路を抑制する事により放射線抵抗性と関連していると考えられている。今回腫瘍組織のSurvivin発現率と、術後に放射線治療を施行した症例での予後との相関に関し解析した。対象は1982年〜2005年に群馬大学附属病院・国立高崎病院・前橋赤十字病院で放射線治療が施行された膠芽腫患者66例で、観察期間は中央値12ケ月、放射線治療の総線量は平均60Gyであった。Survivinの発現は免疫組織化学的手法を用い、核および細胞質内の発現を解析した。発現率および発現強度を用い下記のごとく0-3段階でのSurvivin Scoreで評価した(0:発現なし、1:発現率が50%未満、2:発現率50%以上で強度が弱から中、3:発現率50%以上で強度が強)。核内Survivin score:3の12症例での3年生存率は0%であり、Survivin score:2以下の54症例での11.6%に比べ、有意に予後不良であった(P=0.0003).細胞質内のSurvivin scoreでは予後との相関は認められなかった。また広範囲の摘出術を施行した症例(P=0.02)や、化学療法を施行した症例(P=0.04)で有意に予後良好であった。多変量解析では核内でのSurvivin scoreが、最も強い予後不良因子であった。膠芽腫の放射線治療において核内Survivinは予後不良因子であり、放射線抵抗性である可能性が示唆された。
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