研究課題
「放射線治療と免疫細胞治療の併用による革新的ながんの治療法を開発する」ための科学的な根拠を確立するために本研究を実施した。マウスの皮下にB16メラノーマ細胞(1x10^6)を2カ所に接種し、腫瘍塊を形成させた。腫瘍径が5mmまで増殖した10日後に、腫瘍の一方にのみ、6Gyの電子線を単回照射した。電子線照射後14日後に、腫瘍、所属リンパ節、脾臓を摘出し、各コンパートメントにおける効果をフローサイトメーター(FACS)を用いて細胞生物学的に検討した。各コンパートメントからリンパ球を分離し、CD4,CD8陽性T細胞、CD4CD25陽性抑制性T細胞、照細胞、NKT細胞などのエフェクター細胞、CD11c陽性DCやCD11b陽性細胞などの抗原提示細胞(APC)さらにストローマ細胞の細胞表面マーカーを染色し、活性化や成熟分化の状態を詳細に解析した。放射線照射を受けた腫瘍では、腫瘍の増殖に抑制効果が観察された。腫瘍内には、CD69陽性の活性化T細胞とNK細胞と、CD11b陽性のミエロイド系の細胞が多数浸潤していた。一方、放射線照射を受けなかった腫瘍には免疫応答を担う細胞の浸潤が見られず、腫瘍の増殖速度が促進した。時間と空間制御能に優れた放射線治療は、宿主の免疫応答形成に重要なリンパ組織や骨髄への効果を最小限に止めることが可能であることから、免疫療法との併用が有利である。放射線治療により腫瘍の抗原性が増強していることが予測され、CD11b, CD11c陽性細胞による腫瘍特異的なCTLの誘導効率を向上させ、さらにCTLによる腫瘍の認識と抗腫瘍二効果の増進が期待される。併用療法の相乗効果に関して、このような理論的な予測を,動物モデルにおいて実証することにより、実際の治療法開発のための臨床試験へ進むことが可能になると期待される。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (7件)
Jpn J Clin Oncol 37(1)
ページ: 38-43
Acta Oncol 45(8)
ページ: 1102-1107
J Gastroenterol Hepatol 21(10)
ページ: 1555-1560
Ann Hematol 85(8)
ページ: 523-529
J Obstet Gynaecol Res 32(2)
ページ: 235-242
Int J Radiat Oncol Biol Phys 65(1)
ページ: 196-202
Int J Radiat Oncol Biol Phys 64(5)
ページ: 1371-1379