研究概要 |
近年のアポトーシス研究により、アポトーシスは生体のホメオスタシスの維持に重要な役割を果たしていることが知られており、アポトーシスを体外から非侵襲的にイメージングすることが可能であれば、これら疾患の臨床診断、病態解明に非常に有用である。 既存のイメージング薬剤としてはhydrazinonicotinamide(HYNIC)を配位子としてAnnexin A5を^<99m>Tc標識した^<99m>Tc-HYNIC-Annexin A5があるが、この^<99m>Tc-HYNIC-Annexin A5は、腎臓、肝臓などの非標的組織への高い放射能集積が問題となる。そこで本研究ででは、生体内で安定であり、かつ代謝物が代謝臓器から速やかにクリアランスされることが予想されるbis(benzohydroxamamide)誘導体を配位子として選択し、Annexin A5とbis(benzohydroxamamide)誘導体であるN, N'-trimethylenedibenzohydroxamamide C_3(BHam)_2を結合したC_3(BHam)_2-Annexin A5を作製し、^<99m>Tc標識することとした。C_3(BHam)_2はEMCSと2-ITを介してAnnexin A5へ結合させた。^<99m>Tc標識は^<99m>Tc-glucoheptonateとの配位子交換反応により行った。その結果、^<99m>Tc-C_3(BHam)_2-Annexin A5は、97%以上の放射化学的純度で標識することができた。血球結合実験により^<99m>Tc-C_3(BHam)_2-Annexin A5におけるAnnexin A5の生理活性を確認したところ、^<99m>Tc-HYNIC-Annexin A5とほぼ同様の生理活性を示した。今後、動物実験により本薬剤の有用性を評価する予定である。
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