アポトーシスは生体のホメオスタシスの維持に重要な役割を果たしていることが知られており、アポトーシスを体外から非侵襲的にイメージングすることが可能であれば、これら疾患の臨床診断、病態解明に非常に有用である。昨年度の研究にて、生体内で安定であり、かつ代謝物が代謝臓器から速やかにクリアランスされることが予想されるbis(benzohydroxamamide)誘導体の^<99m>Tc錯体[^<99m>Tc-C_3(Bham)_2]とAnnexin A5とをリンカーを介して結合した^<99m>Tc-C_3(Bham)_2-Annexin A5を作製し、Annexin A5の生理活性を調べたところ、既存の化合物である^<99m>Tc-HYNIC-Annexin A5とほぼ同程度の生理活性を示した。今年度の研究にて、この標識体のノーマルマウスにおける体内放射能分布を調べた結果、^<99m>Tc-C_3(Bham)_2-Annexin A5の血液クリアランスは^<99m>Tc-HYNIC-Annexin A5よりも遅く、^<99m>Tc-HYNIC-Annexin A5が非常に高い放射能集積を示す臓器である腎臓において、大きく放射能集積を低減させた。また、肝臓においては、投与早期においては、^<99m>Tc-C_3(Bham)_2-Annexin A5は、^<99m>Tc-HYNIC-Annexin A5よりも高い放射能集積は示したが、^<99m>Tc-HYNIC-Annexin A5の放射能が滞留を示すのに対し、^<99m>Tc-C_3(Bham)_2-Annexin A5の放射能は時間経過とともに低減し、投与後6時間後における放射能は同程度であった。以上の結果より、^<99m>Tc-C_3(Bham)_2-Annexin A5はアポトーシスイメージング剤として有用である可能性が示された。今後、担癌動物に抗癌剤を投与した時のアポトーシスのイメージングを行う予定である。
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