研究概要 |
2006年度はマウス繊維芽肉腫を対象とし、末梢性ベンゾジアゼピン受容体(PBR)リガンドの結合特性の検討を行った。PBRリガンドには^3H-PK11195および^<11>C-AC-5216を用いた。 インビトロにおける^3H-PK11195の結合は腎臓と同様に繊維芽肉腫においても95%以上が特異結合を示し、Bmaxは腎臓では5.2pmol/mg protein、繊維芽肉腫においては5.0pmol/mg proteinと同程度であることが明らかとなった。Kdは腎臓では0.45nMであったのに対し、繊維芽肉腫では1.34nMという値を示した。一方、インビボ結合を解剖法により検討した結果、腎臓では特異結合が約70%であり、繊維芽肉腫においては約40%であった。さらに腎臓における^3H-PK11195の取り込みは非標識体のPK11195の用量依存的に低下したのに対し、繊維芽肉腫においては少量(0.1-1mg/kg)のPK11195存在下では逆に増加が認められ、見かけ上の正の協同性が認められた。またオートラジオグラフィー法により腫瘍内分布を検討したところ、インビトロでは均一な結合を示したのに対し、インビボでは不均一な分布を示した。またインビボにおける不均一な分布は少量(0.03,0.1mg/kg)のPK11195存在下でも認められた。 また^<11>C-AC-5216の結合もマウス繊維芽肉腫において^3H-PK11195の結合と同様にインビボにおいて不均一な分布を示すことがあきらかとなった。ダブルトレーサ法により同一腫瘍内における^<11>C-AC-5216と^<14>C-iodoantipyrineの分布を検討したところ、ほぼ一致した結果が得られ、^<11>C-AC-5216の結合には血流の影響を受けることが明らかとなり、腫瘍内の血管新生や酸素供給量等との関連が示唆された。
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