研究課題
最近の研究では、^<14>C-酢酸によりアストロサイトのエネルギー代謝が評価可能であることが、動物実験で示されており、^<11>C-酢酸を用いたpositron emission tomography(PET)により非侵襲的に生体内のアストロサイトエネルギー代謝状態をイメージングできる可能性が示唆されている。本研究においては、虚血性脳血管障害におけるアストロサイトの動態を、^<14>C-酢酸、^<11>C-酢酸を用いて、in vitro、in vivo、そしてヒトへの応用を一貫してより直接的に明らかとすることを目的とした。これまでの報告では各種選択的細胞培養系における酢酸の取り込みを詳細に検討したものはなく、本年度はまず基礎的な検討として、酢酸がどのような細胞種に取り込まれるかを検討した。ヒトでの^<11>C-酢酸を用いたPETによるアストロサイトエネルギー代謝の画像化を踏まえて、ヒト各種細胞株(ヒト神経系細胞株、ヒトアストログリア細胞株、ヒトオリゴデンドロサイト細胞株)にて、^<14>C-酢酸の取り込みを調べた。^<14>C-酢酸の取り込みの経時変化を測定し、^<14>C-酢酸がヒトアストログリア細胞株に選択的に取り込まれ、代謝基質となることが確認された。ヒトでの検討においては、倫理委員会での承認が得られ、現在健常人において^<11>C-酢酸を用いたPETの撮像を開始し、脳アストロサイトエネルギー代謝測定法の確立を目指している。これまでの検討では、神経細胞の電気的活動性を反映する脳血流量、エネルギー代謝画像と比較して、^<11>C-酢酸の脳内への取り込みは大脳灰白質、基底核で低く、大脳白質で高いという結果であった。今後、脳梗塞患者において、^<11>C-酢酸を用いたPETを施行し、脳梗塞患者でのアストロサイトエネルギー代謝の評価を行う予定である。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Annals of Nuclear Medicine Vol 21, No. 2(in press)
Annals of Nuclear Medicine Vol 20, No. 3
ページ: 209-215