耳下腺のMRマイクロイメージング : 3T MRIと表面コイルを用いた検討 昨年までの検討により3T MRI画像にて耳下腺の高分解能画像を得ることができており、これを用いて検討した。以下に検討結果を要約する。 1. 耳下腺内の顔面神経の描出 : 耳下腺腫瘍を有する50症例について検討した。顔面神経は約90%で同定され、これによって耳下腺腫瘍の存在部位(深葉もしくは浅葉)を感度92%、特異度86%、正診率87%で特定することが出来た。一方、従来用いられてきた後下顎静脈を用いる方法では、感度67%、特異度89%、正診率86%であった。3Tを用いた高分解能画像により耳下腺内の顔面神経が描出能でき、特に深葉の診断向上に寄与することが出来ると考えられた。これらの内容をまとめた論文を現在投稿中である。 2. 耳下腺腫瘍の病理組織との対比 : 耳下腺腫瘍を有する41症例について検討した。被膜の描出は多形腺腫で95%、ワルチン腫瘍で60%、他の良性腫瘍(リンパ上皮性嚢胞、神経鞘腫)では50%で確認できた。悪性腫瘍例では腺様嚢胞癌、唾液腺管癌、粘表皮癌等で被膜が描出された。多形腺腫の被膜は造影されないもしくは軽度の造影効果を呈し、ワルチン腫瘍の被膜は不均一な厚さで、軽度〜強く造影される傾向にあった。悪性腫瘍の被膜は不均一な厚さで、強く造影される傾向にあった。MRIで描出される被膜の有無による良悪性の鑑別はできないが、被膜の性状は良悪性の鑑別に有用である可能性が示唆された。 3. 耳下腺管の描出 : 検討症例が少なく今後も検討をしていく予定である。
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