研究概要 |
本研究では、標的組織の認識部位と放射性金属核種結合部位とを一分子内に独立して有する二官能性キレートという分子設計概念の基に、安定なGa-DOTA錯体を母体とし、錯体形成に関与しない2つのCOOH基に低酸素領域を認識する機能性分子としてmetronidazoleを導入したGa錯体を設計、合成し、^<68>Ga標識PETイメージング剤への応用を検討することとする。まず合成で重要な点は、DOTAの4つのCOOH基のうち向かい合う1対のCOOH基(1,7位)をGa錯体との配位に、残りの1対のCOOH基(4,11位)を機能性分子との結合に利用できるような位置選択的な前駆体を合成することにある。そのため、出発原料である1,4,7,10-テトラアザシクロドデカンの4つのアミンの塩基解離定数の違いを利用して、反応pHを制御することにより、位置選択的に保護基を導入を行った。その結果、1,7位と4,11位をそれぞれ異なる官能基で保護されたDOTA誘導体を総収率26%にて合成することができた。またこれに結合させるための機能性分子として、アミノ基を有するmetronidazole誘導体を合成することとした。そこでmetronidazoleを出発原料とし、メタンスルポニルクロライドによりメシル化した後、アジ化ナトリウムとの求核置換反応によりアジド体を得、これを還元することにより、収率67%にてアミノ体を合成することに成功した。
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