現在以下の項目において研究を行っている。 1.ノイズ修復フィルタによる低線量腹部CTでの肝臓腫瘍の検出能 2.低管電圧を使用した腹部CTアンギオグラフィーにおける線量低減と造影剤の低減 3.ヴァーチャルファントムの胸部CTへの応用 1の項目に関しては約70例の臨床患者より肝臓CTに関する必要なデータをすべて収集した。今後、画像データより画像のノイズ測定や視覚評価などの解析を行う予定である。さらにCTの撮影線量やフィルタ関数に関する基礎的なデータを追加することも検討している。 2の項目に関しては研究内容自体終了しその成果をAm J Roentgenol(AJR)の学術雑誌に発表した。この内容はCTの通常管電圧ではなく低管電圧を使用して腹部CTアンギオグラフィーの被曝線量を低減するとともに、低管電圧の特徴でもあるコントラストを増強する効果を利用して造影剤の低減もはかるものであった。今回の検討より低管電圧を使用することでCTの撮影線量を約80%程度まで、造影剤は約60%程度に低減することが可能となった。この手法は造影剤を使用する他の部位においても適応可能であり今後新たな展開が期待される。 3の項目に関しては当初コンピュータで作成するヴァーチャルファントムにスリガラス状の陰影(GGO)を埋め込む予定であったが現在のところ成功していない。理由は腫瘤自体が均一であれば容易であったがが、研究対象としたスリガラス状の淡い陰影を作成する事が困難であった。さらにヴァーチャルファントムにおいて肺野の構造を再現する事も困難であった。現在臨床の肺野に腫瘤を埋め込むことや、他の手法も視野に入れて研究を継続中である。
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