研究課題
本研究の目的は、近年飛躍的に進歩したMDCT検査を対象にその利点を生かした特有の撮像パラメータの構築、疾患に対応した種々医用画像処理アルゴリズムによる脳出血診断支援システムの実用化への課題を明らかにすることである。本年度は、1.脳出血検出用MDCTプロトコール(至適条件)の作成、2.診断能評価用物理的ファントム開発について遂行した。研究方法は、以前に試作した脳血管疾患評価用ファントムを用い、NaCl、K__2HPO_4の混合物質を脳実質CT値より、-4HUから+4HUとした模擬疾患に見立て、X線CTにての描出能評価から脳出血を検出する至適条件を求めた。これから、コントラスト差が微弱な物質(淡い脳出血)を描出するための撮影条件は、従来120kV・300mAsの-4HU・+4HUで1.5倍、-2HU・+2HUでは3倍近い撮影条件を要することが新たにわかった。(日本放射線技師会、日本放射線技術学会にて研究発表)また、2.診断能評価用物理的ファントム開発に関しては、上記ファントムによる基礎データの取得(日本医学物理学会にて研究発表)から、頭部概観に近似した180φ円柱状の砲弾型を採用し、その内部に疾患を模擬した2、3、5、7、10mmφの球状物質を-2HU、-4HU、+2HU、+4HUに調整し配置する物理的ファントムを新たに設計・開発した。このファントムの64列MDCTによる撮影は、平成19年度に行う予定である。さらに、次年度に開発予定の各脳出血に対応した画像処理アルゴリズムの一部を本年遂行し、淡いくも膜下出血に限定したヒストグラム解析や周波数処理を応用した検出アルゴリズムを開発した。(日本医学物理学会、日本大学学術講演会にて研究発表)以上から、本年度は脳出血検出に必要なMDCT至適条件が明らかになり、物理的ファントムが脳血管疾患検出評価に使用できるようになった。
すべて 2006
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Japanese Journal of Medical Physics Proceedings of the 91th scientific meeting of JSMP Vol.26 Suppl.No.2
ページ: 20-21
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Japanese Journal of Medical Physics Proceedings of the 92th scientific meeting of JSMP Vol.26 Suppl.No.3
ページ: 183-184
日本放射線技師会会誌 Vol.26 No.648
ページ: 254
日本放射線技術学会会誌 Vol.62 No.9
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日本大学理工学部学術講演会論文集 Vol.50
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