現有のMRI装置を用いた基礎実験を行い治療に適したMRIでのシークエンスの開発、温度分布の調査を行った。 (1)MRIシークエンスの検討 開発したインプラント用に使用可能な小型共振回路を用いて、現有のMRI装置におけるイメージング用シークエンスにおいて発熱の状態を調べた。回路は光ファイバー温度計とともにMRIの寝台にセットし、画像診断のシークエンスであるT1強調像、Fast Low Angle Shot(FLASH)、Rapid Acquisition with Refocused Echoes(RARE)、diffusion-weighted image(DWI)等にて共振回路の温度上昇を調べた。また、スライス厚、スライス枚数、バンド幅などのパラメータを変え、温度上昇の特性を調べた。シークエンスでは短時間に多数のパルスがでるRARE、FLASHで温度上昇が良好であった。また、パラメータでは磁場中心(共振周波数)からのずれが少ない、スライス厚が少ない、バンド幅が少ないものが温度上昇が良好であった。 (2)共振回路の特性の検討 共振回路のコンデンサを固定値のもの、可変式のものに変え、温度上昇の違いを調べた。可変式ものでは温度上昇の程度が低い結果であった。共振周波数を少しずつ変えた回路を用い、共振周波数からのずれの違いにおける温度上昇の程度を調べた。 (3)温度分布の調査 寒天に共振回路を入れ、温度分布を調べた。共振回路自体を寒天に入れたもの、および共振回路をラップした状態で寒天に入れたものでの温度上昇の違いの調べた。 (4)画像撮像時のアーチファクトの検討 共振回路を市販の肉塊中にいれ、MRI画像を撮像した。共振回路および辺縁にartifactが認められたが、周囲の画像の取得は可能であった。
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