1.FDGによる評価 検診システムや偶発発見により発見された肺小結節の鑑別診断にFDG-PETがどのように寄与するかを検討した。直径20mm以下の肺結節に対して未治療時にFDG-PETを施行し、その後手術や生検、自然経過により結果が確定した47例を対象とした。^<18>F-FDGを静注後60、120分後に撮像を行い、結節病変部の早期SUV、SUV増加率(後期・早期)!早期)を測定し比較を行った。小結節の内訳は肺癌(M群)34(腺癌26、扁平上皮癌7、小細胞癌1)、良性・炎症性結節(B群)13例であった。両群間の早期SUV、増加率に有意差は認められなかったが、肺癌の中では、腺癌はB群と比べ有意差を認めなかったが、扁平上皮癌はB群や、腺癌と比べて早期SUV、増加率が有意に高値を呈した。小型肺結節の鑑別診断としてのFDG-PETには特に腺癌の集積を良性から鑑別するのに限界がある。また、GGOの割合を検討すると、GGOの割合が50%を超える腺癌においては、形態画像情報がなければ視覚的にFDGの異常集積を指摘することができなかった。 2.CTとFDG-PET画像の読影実験 直径20mm以下で、未治療時に胸部CTとFDG-PETを施行され、その後に結果が確定された50例について、CT画像(肺野条件+縦隔条件)、PET画像単独、ならびにCT+PET画像を合わせて良悪性の判定を5段階評価で行うと共に、PETの集積と早期像から後期像での増加率、CTでの画像の特徴(病変部位、吸収値、石灰化の有無、スピキュラの有無、周辺の散布影の有無、GGOの有無とその形態)を分析した。良悪性の診断の正診率はCT+PET>CT>PETの順であり、SUV値やその変化率のみでは不十分であった。形態像としては、辺縁性状や石灰化有無のみでは鑑別が困難であり、多変量的な解析が望まれた。
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