(1)実験動物の準備 実験に用いるのはSPFミニブタで、特に近親間生体移植を前提とし、SLA(SwineLeukocyteAntigen)one haplotype mismatchのブタとしている。業者からの購入ルtトも確立され、常時入手可能となっている。 (2)ミニ移植手技 従来行ってきた小腸移植の実験では家畜ブタを用いており、今回ミニブタを初めて用いた。そのため、ミニブタ特有の解剖学的特徴や特異的体質を把握するのに多少の時間を要したが、実験を重ねることで掌握できている。 造血幹細胞を採取に関しては、まず覚醒したミニブタの末梢血を採取し、そこから幹細胞を分離してみたが、ミニ移植に必要充分量の造血幹細胞を得ることができなかった。そこで、以降の実験からは胸骨や腸骨から骨髄を採取している。しかし、体位や経過時間によっては骨髄採取のみでブタが死亡することも少なからずあった。以上の結果より、現在はブタに全身麻酔をかけ骨髄採取のみ行い、可能な限り低侵襲でかつ、充分量の骨髄液を採取できるようになった。また、骨髄液から造血幹細胞を分離し、充分量存在していることも確認済みである。しかしながら、骨髄採取の手技は難易度が高いのも事実であり、その手技の確立のため、繰り返し実験を行っている段階であり技術は確実に向上している。 また、キメラ状態のチェックのためにPM(pigallegic antigen)、ブタCD34抗体が必要であるが、特定の施設でのみ管理されており現時点では入手困難である。しかし、オス、メス間でミニ移植を行えば性染色体によるキメリズムの評価が可能なので、特に問題ないと考えている。
|