1.Rat elastasel promoter/enhancer(膵臓腺房細胞で特異的に発現する)+ヒトPSTI cDNA(wild、N34S、R67c)+PolyAのトランスジーンをマイクロインジェクション法により受精卵に移植し、トランスジェニックマウスを作製した。現在ラインの樹立を行っている。ラインの樹立後、Psti欠損マウスと交配して、通常状態での膵炎発症の有無、およびセルレインの腹腔内投与により誘発した急性膵炎の重症度を比較する。 2.膵腺房細胞で特異的に働くRat elastasel promoter/enhancer遺伝子の下流にCre遺伝子を結合したプラスミドを作製し、マイクロインジェクション法でマウス受精卵に導入し、腺房細胞特異的にCre蛋白を発現するマウスの作製を行った。このマウスとconditional Atg5欠損マウスと交配し、膵腺房細胞特異的オートファジー欠損マウスを作製した。このマウスは現在出生後12カ月齢まで観察を行っているが、生理的条件下では特に表現型は示さなかった。つまり通常状態では膵腺房細胞ではオートファジーは必ずしも必要ないことが判明した。しかしこのマウスに急性膵炎を惹起する刺激を行うと、コントロールマウスに比較して膵炎に伴う腺房細胞障害が抑制された。さらにオートファジーによって腺房細胞が障害されるメカニズムを明らかにするために、腺房細胞を単離して、細胞内のトリプシノーゲンを活性化させる刺激を行ったところ、単純Atg5欠損腺房細胞ではトリプシノーゲンの活性化が抑制されることが判明した。膵臓腺房細胞内でトリプシノーゲンがトリプシンに活性化されるメカニズムを明らかにした。
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