胆管癌の癌部と周辺異型組織における染色体異常を解析するため、胆管癌の凍結切除標本を用いてレーザーキャプチャーマイクロダイセクション法により癌組織中より約1万個の癌細胞のみを切り出し胆管癌のDNAを抽出した。このDNAでゲノムアレイを施行して胆管癌で高頻度に認められる染色体異常を検索し、それらの異常が癌部、非癌部で同様に認められるかをパラフィン固定標本でinsitu hybridization法で検討する予定であった。 マイクロダイセクション法で臨床検体から抽出したDAN量がゲノムアレイを施行するのに十分であるかを検討するため、得られたサンプルと濃度が既知のDNAサンプル(血液から抽出)を用いて特定遺伝子のgenomic DNA配列に対するリアルタイムPCRを行い比較したところ予想より収量が少なく(20pg以下)、アレイを行なうのに不十分な量であったため、追加の切除を検討したがマイクロダイセクション装置のレーザーが消耗し、使用不能であったため施行できなかった。 このため、とりあえずマイクロダイセクション装置が使用可能となるまで胆管癌細胞株を用いたゲノムアレイを先行させ胆管癌における染色体異常を解析することとして国内外から入手可能な胆管癌細胞株を収集してゲノムアレイを準備中である。 再度、臨床検体からのgenomic DNA抽出で十分量のサンプルが得られない場合は細胞株のゲノムアレイで得られたデータから染色体異常の頻度の高い遺伝子座を抽出し、臨床検体から得られたgenomic DNAを用いたPCRにて染色体異常が臨床検体でも存在するかを確認後in situ hybridizationを行なうこととする。
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