研究概要 |
1.肺癌手術検体のメチル化解析 肺癌手術例80例の癌部および非癌部組織よりDNAを抽出し、Bisulfite処理を行い、Methylation specific polymerase chain reaction(MSP法)によりメチル化を解析した。 その結果、癌部および非癌部肺組織におけるメチル化検出率は、RASSF1で最も高く(癌部 41%、非癌部 16%)、癌特異的であった。NORE1,RASSF2のメチル化は検出されなかった。RASSF1メチル化群では有意に喫煙指数が高い結果であった。癌部DNAにおいてRASSF2CpG領域の転写開始点遠位部では8%にメチル化を検出した。このメチル化群では喫煙指数が高く、腫瘍径が大きい傾向を認めた。 原発性肺癌では、RASSF1はメチル化による発現抑制を受ける頻度が高いが、RASSF2,NORE1はメチル化による発現抑制は受けないと考えられた。喫煙はRASSF1,RASSF2のメチル化を促進すると考えられた。 2.メチル化診断チップの実験用プライマーの作製、定量、コントロール実験 メチル化診断チップGenoPal^<TM>(三菱レーヨン)注入用のプローブ(メチル化特異的プローブと非メチル化特異的プローブ)およびCy5標識プライマー、リン酸化標識プライマー作製を行った。癌抑制遺伝子・癌関連遺伝子を2遺伝子の内、最終的のプローブとして作成可能であったのは8遺伝子であった。この8遺伝子をコントロール検体(universally methylated DNAとuniversally unmethylated DNAの0%,25%,50%,75%,100%混合template)のmultiplex PCR産物から得られた検量線を求め、最適なプローブかどうかを検討した結果、最終的に4遺伝子(TIG1,p16,RUNX3,LOX)を評価可能と判断した。
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