研究概要 |
研究実施計画に基づき、以下の研究を行った。 (1)EBUS-TBNA検体を用いた遺伝子変異解析として、EGFR遺伝子変異についての解析を行った。EGFR exon19,20,12を対象に遺伝子変異解析を行い、EBUS-TBNA検体を用いたEGFR遺伝子変異解析が可能であるとともに、変異を有する症例ではGefitinibに対し高い感受性を示すことを、国際学会にて報告した(IASLCおよびChest)。また、欧米等ではEGFR遺伝子の増幅異常とチロシンキナーゼ阻害薬の感受性について報告も多く、CISH法による遺伝子増幅の検出を試み、遺伝子変異とは独立して異常増幅が見られることを確認した。チロシンキナーゼ阻害薬使用における重要なバイオマーカーとなりうる可能性があり、今後解析数を増やし、報告を行う予定である。 (2)EBUS-TBNA検体を用いた、DNA異常メチル化解析を行った。これによりEBUS-TBNA検体においてもメチル化の検出が可能であり、さらにメチル化頻度が高い症例において、シスプラチンを含んだ化学療法に対し、高感受性であることを示し、国際学会および国内学会にて報告した(ATS、日本肺癌学会総会)。EBUS-TBNA検体を用いた遺伝子解析が、肺癌治療におけるバイオマーカーとなりうることを示した。 (3)EBUS-TBNA検体から、マイクロダイセクション法を用いて腫瘍細胞を取り出し、ここからRNAを抽出し、EBUS-TBNA検体における5-FU代謝関連遺伝子の発現について検討した。この結果、転移を有するリンパ節組織での腫瘍細胞は、母集団平均と比較してDNA合成に関する遺伝子発現が高い傾向にあり、予後と関連する可能性が示唆された。これは抗癌剤選択におけるバイオマーカーのみならず、予後予測因子としても有用である。この成果は、2008年の呼吸器内視鐘学会総会にて発表予定である。
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