まず、実験系の確立を行うべく実験準備・予備実験を開始した。当研究室の既存の設備や体制上、ラットを使って実験を行う事とした。動物の愛護的扱い、動物実験施設の使用法を再確認した。実験の基礎的手順を再確認した。気管内挿管し、仰臥位で血圧モニターと血液ガス分析の血液採取用および薬剤投与用に大腿動静脈にカニュレーションするのに練習を要した。脳梗塞範囲測定では、頭蓋底よりの左前頭側頭開頭を行い、ハイスピードドリルにて左側頭窩下を少しずつ削りとるように硬膜を露出・切開し中大脳動脈を露出、電気凝固し切断して血流を途絶させて脳梗塞を作成した(田村モデル)。脳血流測定では、左総頚動脈を露出、ナイロン系糸を挿入して内頚動脈終末部まで挿入して血流を途絶できるようにしておいた(小泉モデル)。そして腹臥位にし開放開窓法を行い、血流測定用のレーザードップラープローブを定位的に設置、脳血流を測定した。先ほどのナイロン糸を滑り込ませて中大動脈の血流を遮断させ、脳血流の変化をモニターした。実験は同一条件・再現性が求められるため、脳循環や脳梗塞範囲、生理学的パラメーターの安定化をめざし練習を重ねた。体温や血圧はすぐ安定したが、血液ガス分析のpCO2と脳梗塞範囲では、ばらつきが認められ練習を要した。また、ラットが翌日までに死亡してしまうということが続いたが、敗血症を引き起こしてしまっていた可能性が考えられ、改善した。今後はデータの集積が期待される。関連領域では、群馬大学脳神経外科の第5回同門会奨励賞を「アンギオテンシン2はNADPH酸化酵素由来活性酸素種を介して神経血管調節機構を障害する」で受賞、第65回日本脳神経外科学会総会で「アンギオテンシン2の脳微小循環への影響」で発表できた。
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