研究概要 |
グリオーマの腫瘍抗原(IL-13Rα2 chain, WT1, GLEA2, MAGE-1 and MAGE-3, survivin, SART1, HER2/neuなど)のペプチドから効果的なエピトープを同定しCTL(細胞障害性Tリンパ球)誘導能の解析を行う。特に日本人の60%以上を占めるHLA-A24にターゲットを絞り、HLA-A24拘束性を示す腫瘍抗原ペプチド候補を数種類作製し、抗腫瘍効果のあるCTLを誘導しうる抗原ペプチドのスクリーニングを行った。 方法 ヒト末梢血液から未熟樹状細胞を誘導し、ペプチド及びサイトカインを加え成熟樹状細胞とし、リンパ球と共培養することにより、腫瘍抗原特異的なT細胞を誘導する。機能評価として、CTLによる^<51>Chromium releasing assayやIFNγの細胞内サイトカイン産生を調べる。さらにそのペプチドによって誘導されたCTLがグリオーマ細胞株に対する細胞障害性を有することを確認する。 研究成果と考察 (1)CTLの細胞障害性試験ではペプチド特異的な細胞障害性が認められた。 (2)IFNγの産生を評価したところ、コントロールペプチドと比較して腫瘍抗原ペプチド特異的に、IFNγの産生が高いことが示された。 (3)腫瘍細胞株に対するCTLの細胞障害性試験を行ったところ、発現陽性かつHLA-A24陽性のグリオーマ細胞株YKG-1に対して、高い細胞障害性が認められた。 テトラマー解析など、CTL誘導の評価法の開発など、さらなる研究が必要だが、臨床応用への第一歩が開けたと考えられる。
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