研究課題
【緒言】ジストニアに対する脳深部刺激療法(DBS)の至適刺激部位と脳深部神経活動との比較をおこなうために、研究初年度は、術中に記録された淡蒼球ニューロン活動の分析をおこなった。【対象・方法】両側の淡蒼球内節刺激(GPi-DBS)を施行した突発性全身性ジストニア症例を対象として、術中に記録された淡蒼球ニューロンの自発発火瀕度、発火パターンを分析した。【結果および総括】今年度の研究により以下の結果が得られた。1、GPiニューロンの自発発火は低頻度であった。2、発火パターン分析ではpausingを多く示す。3、罹患筋に対する受容野が拡大している初見をとらえた。こうしたジストニアの淡蒼球ニューロン活動の特徴を基底核回路のモデルにあてはめてジストニアの病態を考えてみる。1、発火頻度の低下:ジストニアのGPiニューロンの自発発火頻度は低下している。しかしGPiの凝固によってジストニアがある程度軽減することが知られている。このことはGPiの自発発火頻度の低下、すなわちGPiの活動が低下していることと一致しない。つまり、GPiの発火頻度低下のみではジストニアの病態を説明できない。2、pausingパターン:pausingを示す傾向が高い。こうしたpausingパターンが視床-皮質間の信号伝達を障害し、皮質の活動の時間的な混乱が生じることで運動制御が傷害され、その結果ジストニアが出現するのではないかと推測される。3、感覚受容野の変化:淡蒼球内での罹患筋に対する受容野の変化は、発火パターンによる「時間的」異常のみならず、基底核-視床-皮質間の信号伝達の「空間的」変化が、ジストニアの病態には重要な役割を果たしていることを示唆している。今後、こうしたニューロン活動の分析結果を更に集積するとともに、至適刺激部位との比較、検討をおこなっていく予定である。
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