我々が最初に発見したFGF18にっいて、その個体における機能を明らかにするために、FGF18ノックアウトマウス(KO)をジーンターゲィテイング法により作出していた。FGF18KOは胎生致死であり、長骨・頭蓋骨の形成不全を示した。表現型解析の結果から、FGF18KOでは軟骨細胞の増殖が亢進すること、そして軟骨細胞の分化が亢進することを明らかにした。また、FGF18の発現は軟骨周囲に認められた。軟骨周囲を除去した状態で長骨を器官培養すると、長骨の過剰な伸長が認められるのだが、軟骨周囲に発現する負の制御因子としてFGF18は重要な役割を担っている可能性が示唆された。一方FGF18KOでは、骨前駆細胞の増殖低下、そして骨芽細胞への分化遅延など、骨芽細胞形成低下が認められた。軟骨細胞と反対に骨芽細胞系に対してFGF18はその増殖・分化を正に制御するものと考えられた。さらに、FGF18KOの軟骨・骨境界部では、酒石酸耐性アルカリフォスファターゼ(TRAP)陽性破骨細胞数の減少および破骨細胞あたりのTRAP mRNAの発現量低下が認められた。また、in vitroで骨髄由来破骨前駆細胞の分化をFGF18は強力に促進した。破骨細胞に対するFGF18の正の制御作用は、破骨細胞分化のマスターレギュレーターであるRANKLシグナルを阻害することにより抑制された。したがって、FGF18シグナルはRANKLを介して破骨細胞の形成を促進するものと考えられた。
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