遺伝子導入法の一種であるNucleofection法を用いて、神経栄養因子の一つであるGlial cell derived neurotrophic factor(GDNF)を骨髄間質細胞へ遺伝子導入することに成功した。6週齢SDラット大腿骨から取り出した骨髄間質細胞を10日間培養し増殖させ、一方mouse GDNF cDNA(pcDNA3.1/Zeo(+)-mGDNF)を大腸菌プラスミドに組み込み精製した。骨髄間質細胞1×10^6個に対し、5μgのGDNF cDNAをNucleofectorを用いてプログラムA-23によりNucleofectionを行なった。導入12時間後にELISAでGDNFの発現を評価した。コントロールでは発現が見られず、GDNF導入骨髄間質細胞では1812.9pg/mlと、導入していない骨髄細胞の25.8倍の発現を認めた。また導入12時間後のRT-PCRでは、negative controlではmRNAの発現は認めず、GDNF導入骨髄細胞でmRNAの発現を認めた。抗GDNF抗体による免疫染色でもGDNF導入骨髄細胞で陽性細胞が多く認められた。またGFPを用いた同様のnucleofection法で導入率は約40%であったことが確認された。これらにより非ウィルス的手法により多分化能を有する骨髄間質細胞に神経栄養因子を遺伝子導入可能である事が確認された。今後、この導入細胞をラット末梢神経切断モデルで実際に神経再生が促進されるか検討する予定である。
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