実験を始めるに当たり、現時点で入手が比較的容易で且つ細胞の確認が容易であるマウスであるGFP導入マウス(Actin promoter下で発現するEGFP遺伝子を組み込んだtransgenic mouse)を購入した。このマウスより通常の方法にて体外受精を施行した。 受精卵を作成し、受精卵に凝集法を用いて幹細胞を導入することでmosaicismを作成した。具体的には受精卵を培養し8細胞期とし、実体顕微鏡下に酸性タイロード液にて8細胞期の受精卵の透明帯を除去した後、ディッシュに作成したくぼみにその受精卵と幹細胞を入れ接触させて集合胚を作成。その集合胚を桑実胚または胚盤胞期まで培養する。その後再度子宮内に移植し、出産させた個体について、導入した細胞の生着・分化を検討しているところである。移植した細胞の確認・分布は蛍光下に確認する予定となっており、出産した個体の組織の切片を作成して検討する予定となっている。 なお、幹細胞については現在市販されているマウスのES細胞を培養し使用している。 また、Mosaicism作成の際に作成した受精卵を用いてGFP導入マウスES細胞株を確立・培養し、今後の先天奇形マウスに対する幹細胞導入に用い、移植細胞の生着・分布の確認に用いる予定となっている。方法としては上記の方法に準じて行う予定である。 また、先天奇形マウスのペアを飼育し、個体を増加させていく予定となっている。先天奇形に関しては遺伝的に孫の世代で100%奇型の発現が見込まれるものを考慮しているが、場合によっては遺伝子型の確認をPCRにて確認する予定である。実際の実験に対し十分な数が整ったところでこのマウスに対するmosaicismの作成を試みる。
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