研究課題
平成18年度科学研究費補助事業の助成をうけ、超音波関節軟骨定量評価装置を開発・作製した。本機器は、関節軟骨からの超音波反射波を時間周波数解析の一つであるウエーブレット変換を用いて解析を行うものである。関節軟骨評価の定量化指標として、超音波反射波の変換により得たウエーブレットマップ上の最大強度と時間幅の2つを見つけることができた。実験動物を用いた基礎的検討によって、最大強度は軟骨の剛性を、時間幅は軟骨の表面粗さを反映する指標であることを明らかにした。さらに、超小型超音波プローブを用いて臨床応用をすすめた。手術室のME機器によるノイズや、超音波関節内内視鏡操作時の術者の微妙な手ぶれといった問題点があらかじめ予測されていたが、ノイズについては、ウエーブレット変換によって、ソフトウエアー的に大部分除去することができた。また、測定時の手ぶれについては、検査者の測定手技の習熟によってカバーでき、再現性の高い測定データーが得られることがわかった。また、超音波を用いた関節軟骨定量評価法は比較的大きな関節腔を有する膝関節のみならず、小関節である手足関節にも応用可能であった。本年度の成果であるヒト生体関節軟骨の音響特性については、Hattori K, et al. Quantitative Ultrasound can assess living human cardlage. J Bone Joint Surg AM 2006; 88 suppl 4: 201-12.において誌上報告した。現在開発した超音波プローブでは、信号強度が低いという問題点が明らかとなった。それを克服すべく、現在超音波プローブの改良を進めている。次年度は、改良した超音波プローブを用いて、ヒト生体関節軟骨の多施設評価を行う予定である。
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