研究計画に沿って、新たに報告された疾患関連遺伝子について本研究計画で使用する集団での追認試験を行った。各遣伝子上の責任遺伝子変異のジェノタイピングを、ABI PRISM 7900HT(アプライドバイオシステムズ社)およびGeneAmpPCR System 9700(同)を利用し、TaqMan法を用いて行った。タイピング後にχ二乗検定、ハプロタイプ解析などの遺伝統計解析によりRAとの関連を確認し、関連を認めたものや、認めなかったものがあった。このうちのいくつかについては論文化して研究報告を行っている。 HLA-DRB1はこれまで知られている中で最も強い疾患感受性を示し、疾患重症化とも強い関連を示すことが明らかになっている。日本人でも強い疾患感受性を示すことは示されていたが、今回初めて大規模な解析で日本人でも疾患重症化と関連することを示した。 MMP3は臨床的に疾患重症化との関連が確立されており、有望な疾患重症化遺伝子である。このプロモーターにある多型とMMP3血中濃度との関連を確認し、また疾患重症化との関連も示唆された。 STAT4は欧米の他施設研究による大規模なゲノムスキャンにより関連を認めた関節リウマチ感受性遺伝子である。当施設でのサンプルに加え、国内で他施設研究を組織し、日本人での関連も確認できたが、疾患重症化との関連は確認できなかった。MHC2TA、CTLA4、ITGAV、PDCD1も欧米で確認された疾患感受性遺伝子である。当施設でのサンプルを用いて解析を行い、関連を認めた。ただしいずれも疾患重症化との関連は確認できなかった。 HLA-DRB1、MMP3を中心とした遺伝子間相互作用、遺伝子一環境間相互作用の解析も行ったが、有意な関連は認めなかった。
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