1.ラット大脳皮質におけるウロテンシンIIの神経伝達物質放出作用における加齢の影響の検討 若年ラット(12-14週)と加齢ラット(12-14ヶ月)を断頭し、大脳皮質スライス標本を作製し、Krebs液のみ(basal release)または、10^<-12>〜3x10^<-5>MのウロテンシンII添加Krebs液を加え、10分間インキュベートした。その後、HPLC法により、インキュベート後のKrebs液内の放出神経伝達物質としてノルアドレナリン濃度を測定した。その結果、若年ラット群では、ウロテンシンIIは、濃度依存性に大脳皮質からノルアドレナリンを放出していたが、加齢ラットでは、放出量が少ないことが確認された。そのメカニズムは今後の検討課題となった。 2.ウロテンシンIIの循環器系作用への加齢の影響について 始め、雄ウイスター若年ラット(12-14週)と加齢ラット(12-14ヶ月)の側脳室にペントバルビタール麻酔下にウロテンシンIIを投与し、その血圧、心拍数、血中カテコラミン濃度への影響の違いを検討する計画であった。しかし、ペントバルビタール麻酔下のためか、ウロテンシンIIのラット脳室内投与では、他の研究で報告された循環作用は得られず、実験系の変更を与儀なくされた。そこで、現在ウロテンシンIIの静脈内投与による循環作用への加齢の影響を検討している。 2.人工心肺の血中ウロテンシンII濃度に与える影響の検討 人工心肺使用弁膜症手術患者、人工心肺使用大血管手術患者、人工心肺未使用冠動脈バイパス手術患者、急性心筋梗塞患者において、血中UII濃度とその他の循環器系炎症系パラメーターの測定を鋭意施行中である。採血ポイントとして、麻酔導入前、導入30分後、手術終了時、手術終了12時間後を設定した。
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