ラットに麻酔をかけて、脊髄を取り出し、0℃に冷やしたクレブス液の中で、手早く取り出した脊髄を700マイクロメートルにカットする。そして、その脊髄スライスを37℃で酸素をバブリングさせたクレブス液の中で環流させ、取り出した際のスライスのダメージをヲッシュアウトする。この脊髄スライスを使用し、コントロール群は、このスライスを固定し、カプサイシン暴露群は、3マイクロモルをクレブス液に溶かしスライスに10分間暴露させる。その後脊髄を固定し、700マイクロメートルのスライスをさらに15マイクロメートルに薄く切り、それをスライドに乗せる。そのスライドに乗せた脊髄スライスに、ブロッキング、1次抗体、二次抗体を暴露させ、蛍光顕微鏡で観察を行う。侵害痺痛刺激物質であるカプサイシンにより、ラットの脊髄後角におけるERK(extracellular signal-regulated proteinkinase)の活性を免疫染色で確認した。この活性の程度と、侵害刺激の大きさの程度が相関するといわれており、活性が強いと刺激も大きいと判断できる。局所麻酔薬であるブビバカインは、このカプサイシンによるERKの活性を濃度依存性に抑制したことを以前報告したが、今回新しく立ち上げた実験系においても、同じ結果が得られた。さらに、ブビバカイン以外の局所麻酔薬、リドカイン、テトラカインレボブビバカイン、ロビバカイン等も検討し、同様の結果が得られたため、学会報告および論文執筆を準備中である。また、オピオイドであるモルヒネやフェンタニル、レミフェンタニルでも同様に検討し、局所麻酔薬とオピオイドの相互作用も検討していく予定である。さらには静脈麻酔薬であるプロポフォールやチオペンタール、ケタミンでも今後検討する予定である。
|