本研究では延髄の疼痛伝達における制御中枢であるRVMの機能を行動学的、電気生理学的に詳細に検討した。特に近交系マウスの系統(CBA/JとA/J)間で行動学的研究と電気生理学的研究の機能特性に差があることが示された。さらに注目すべきことに、RVMニューロンのタイプは電気生理学的に3種類存在するが、2系統間で存在する割合に差があることが判明した。さらにmu-opioidレセプタ行動薬であるDAMGOを脳室内投与したが、機能特性の変化に差があることが明らかになった。本研究から疼痛やオピオイドの反応性の個人差を予測するための研究で重要なのは神経ネットワークの機能の遺伝的差異が重要であることが強く示唆された. 本研究は現在も研究中であるが神経科学における世界最大の学術集会であるNeuroscence Meeting 2006において現段階における研究成果を発表した. 本研究は今年度(H19年度)から遺伝子操作動物を用いて、さらなる知見を得る予定である.まず手始めにmu-opioidレセプタノックアウトマウスとヘテロマウスを用いることにしている.mu-opioidレセプタの発現量と機能が疼痛伝達/制御のネットワークにおける関わりが明らかとなるであろう。
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