研究概要 |
水チャネルであるアクアポリン4(AQP4)は,様々な臓器に発現し,水の移動の調節,細胞容積の調節,ホルモンの分泌に関与している。これまでに,脳において多種類のAQPが発現し,水の移動や脳脊髄液の産生・吸収に関与していることを報告してきた。また,初期実験により,AQP4の機能が低下すると低酸素による細胞障害が容易に起こることを最近見出した。そこで,RNAi(interfering RNA)を用いてAQP4発現を低下させた(ノックダウン)培養細胞系を作成しAQP4発現が低下した細胞は細胞障害が起こりやすくなること証明するため本研究を行った。培養アストロサイトにAQP4 mRNAを阻害するRNAiを遺伝子導入し,AQP4の発現を低下(ノックダウン)させた培養細胞株(cell line)の構築を行った。まず,siRNA(short interfering RNA)を複数設計し,一時的な遺伝子導入を行った。様々な条件を詳細に検討した結果,ウエスタンブロットにより,効率よくAQP4蛋白の発現を減少させる(ノックダウン)塩基配列を決定することができた。さらに,現在それらのRNAi配列のpiGENE/mU6ベクター(Clontech社)への組み込みを試みており,得られたクローンのスクリーニングを施行している。適切なクローンが発見できれば,ピューロマイシン耐性遺伝子を発現するpPURベクター(Clontech社)を同時に遺伝子導入し,ピューロマイシン耐性細胞を10株程度選出し,適切な株を選定していく予定である。
|