研究概要 |
人工膝関節置換術(TKA)を施行する患者に於いてターニケット使用群、非使用群にわけて血小板及び白血球の活性化,凝集反応の違いを検討した。検体はとう骨動脈から動脈血採血及びIVHカテーテルから下大静脈血採血を行った。採血時期は術前、術中(ターニケット使用中)、術直後(ターニケッット解除後)、術後8時間、24時間行った。in vitro下でアゴニストにより凝集反応を惹起、全血血小板凝集装置を用いて凝集能の経時的変化を見た。その結果、どちらも静脈血側において術後凝集反応促進をみとめ、特にターニケット使用群において術後2.5、8時間後に強い凝集促進を示した。さらに血小板が活性化されたときにおこる血小板放出反応を調べるためにELISA法を用いてβ-トロンボグロブリン(β-TG)や、Platelet factor 4(PF4)、可溶性CD40Lもあわせて調べたが、これらの値も静脈血側において術後2.5、8時間に有意に上昇を認め、PF4と可溶性CD40Lはターニケット非使用群に比べ使用群において有意に上昇を認めた。術中ターニケット使用群において動脈側より中心静脈側で血小板及び白血球の活性化の上昇,凝集反応促進がおきていれば、肺循環において凝集塊がトラップされたということを意味し、血栓形成および肺塞栓の発症の可能性を示唆する。さらに換気血流シンチを術前後ともに行い検討したが、ターニケット使用群、非使用群ともに血流の欠損像を認める所見があったが、とくにターニケット使用群においてその程度は大きなものであった。
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