研究概要 |
平成19年度までの研究成果で、ロピバカインによる血管平滑筋収縮が、プロテインキナーゼC(PKC)の阻害剤(BIS IとGO 6976)で抑制されることから、ロピバカインによってタンパクリン酸化酵素の活性化が引き起こされる可能性があるとの知見をえた。平成20年度は、局所麻酔薬(ロピバカイン)によってタンパクリン酸化酵素が活性化されるかどうかを検討した。Wistarラットより内皮除去下行大動脈標本を作製し、ロピバカイン適用によって大動脈平滑筋において、PKC、p44/42Mitogen-activated protein kinase(p44/42 MAPK)、Rhoキナーゼが活性化されるかどうかをWestern blotting法を用いて検討した。その結果、ロピバカイン適用によって、PKC, p44/42MAPK, Rho kinaseいずれも活性化されることを確認した。また、他の局所麻酔薬に関しては、いずれのタンパクリン酸化酵素も下活性化されることを確認できなかった。以上の結果から、局所麻酔薬はその構造特異性から、血管収縮性・タンパクリン酸化酵素に対する作用が異なることが示唆された。ただ、その詳細な機序についてはさらなる検討が必要である。
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