研究概要 |
平成18年度の研究実績は以下のとおりである。 我々は膀胱線維化抑制のカギを握るのは成長因子のひとつであるTGF-bと予想している。本年度はTGF-bに始まる情報伝達系の下流に位置する蛋白SMADに焦点をあてて実験を行った。TGF-bの下流に位置しその情報伝達系を阻害しているSMAD6, SMAD7を強制発現させるアデノウィルスベクターの入手をノースカロライナ州ウェイクフォレスト大学再生医療研究センター、分子細胞生物学部門チーフであるシャイ・ソーカー準教授に協力を依頼した。 また膀胱の線維化は膀胱内圧の上昇により膀胱平滑筋や血管への障害が発生し、膀胱壁の性質が物理的に変化した結果であると考えられている。我々はその原因として膀胱壁に存在している微小血管の構造あるいは分布の変化があるのではないかと予想し血管内皮細胞とマウス膀胱平滑筋を実験材料に選定した。まずさまざまな生理活性物質を含有する基質であるマトリジェルを足場とし、血管内皮細胞の増殖、分化および立体構造のアッセイができる条件を整えた。まずヒトの微小血管から得られた血管内皮細胞をSV-40にて不死化したセルラインであるHMEC-1を培養し、あらかじめマトリジェルのコーティングを施した培養皿へ散布すると一定の条件化で微小血管様のチューブ状構造を形成することが確認された。この技術を応用し、マウス膀胱平滑筋の初代培養細胞との共培養を異なる条件化で行うなど膀胱線維化における血管内皮の果たす役割の解明を試みた。
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